猫の耳に1週間以上治らない皮膚病がある。
ひっかいて出血、かさぶた。
ケンカをして、化膿してなおらないみたい。。。
治らない状態は、安易に様子を見ず、まずは相談してみてはどうでしょうか。
今回の写真は『扁平上皮癌』が原因です。
当院はさいたま市は岩槻区の東いわつき動物病院です。
『耳介のかさぶたが治らない』でいくつか原因をあげてみたいと思います。
1.虫刺され
2.外耳炎
3.腫瘍
4.カビ
5.その他
以下、掘り下げて記載します。
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1.虫刺され
現在の季節は、夏。
夏と言えば、蚊。
かさぶたと言うよりは、ポチポチと言った擬音になりそうな病変が、耳たぶ(外側)に多数ある。
蚊による虫刺されの可能性があります。
夏場に良く診せに来られることがある症状です。
基本、夏が過ぎれば治ります。
本人(猫)は人ほど痒そうにはしていないと、経験則では感じます。
ネコさんが、つらそうなら塗り薬や飲み薬。
気にしてないなら、秋になるのを待つ。
蚊の忌避剤は、害がなければ試してみても良いと思います。
当院で処方する忌避剤はありません。
猫は体を隅々まで舐めますので、つけるときはメーカーの指示をよく守って使用してください。
別件ですが、蚊に刺されるという事は『フィラリア症』を発症するリスクがあります。
猫のフィラリアがわからない方は関連リンクを、ネコさんの為に少し見てあげてください。(→猫のフィラリアについて)
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2.外耳炎
耳が痒くて引っ掻いているせいで、耳に傷を作っている可能性はどうでしょうか?
案外、掻いてる姿を見せないけど、実はって仔が散見されます。
掻いてかさぶたなので、耳介や耳の後ろあたりの皮膚が剥げているのが特徴として考えられそうです。
耳の内側をほじるように掻けば、内側にかさぶたが出来ます。
中耳炎なら、中から耳ダレが出てきて、耳介の内側にこびりつく様なかさぶたができてるかもしれません。
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3.腫瘍
写真に出ているのが一つの例です。
かさぶたが出来ては剥がれ、出来ては剥がれ。
掻いてるから治らないと飼主様は思っていたようで、カラーとかいろいろ自己判断で治療していたようで、乾いてきて少し良くなったとも言っていました。
血が出てるので乾けばかさぶたになりますが、下地が異常細胞なので治る気配、傷が小さくなることはありません。
今回の症例は、外に出る、白猫、耳、見た目から扁平上皮癌が強く疑われ、細胞診にて確定しました。
治療は広範囲、つまり耳の付け根からの切除が一番完治の可能性が高い治療になります。
この子は手術を行い、切り取ったものを再度、病理検査に出し、取り切れているとなっていました。
このまま、治ってくれればいいのですが、要経過です。
要経過以外に抗がん剤も選択肢になります。
細かな話は、別の機会に。
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4.カビ
傷っぽいかさぶたでなく、カサカサしたフケっぽいかさぶたが特徴です。
まばらに毛があり、ハゲてきていることが多いと思われます。
飼主様に赤い輪っかの痒い病変があれば、ほぼ確定と思います。
人にもうつる感染症です。
言い換えると、水虫。
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5.その他
耳の付け根(根本)の辺縁に、ガサガサした塊、かさぶたっぽいものがあって、やたらと痒いようでしたら、『疥癬』が疑えそうです。
様子を見ても治りませんが、治療すれば簡単に治ります。
人も刺されてポチポチが出ることもあります。
耳の先端の方に、あかぎれ見たいにかさぶたなら、免疫系や血管系の問題、紫外線あたりがうたがえるでしょうか。
鼻にもできるかもしれません。
あとは、単純な細菌性の皮膚炎ですが、耳だけってのはあまり見かけない気がします。
やはりお腹や背中など軟らかくてジメッとしやすいところの方が、バイ菌も増えやすいですから。
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ざっくりと書きましたが、どれか当てはまりそうでしょうか?
検索して、これを見ているってことは、様子を見たいという事かと思います。
様子を見たい理由もいろいろですが、ネコさんを連れ出したくないと言う時は、写真を複数枚撮って見せに来るのもひとつですね。
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